・少子化問題についての政治的考察Part1(ワークライフバランス)

 2006年の合計特殊出生率*1が6年ぶりに上昇し、1.3台に回復したそうです。まあ上昇したのは喜ばしい事ではありますが、この程度では依然キビシイことに変わりない。ということで今回は少子化問題について考えてみました。少子化問題の政治的な局面について。
 で、なぜ少子化が問題なのかはこの際おいておくとして(笑)、国もこの少子化は問題だということで、さまざまな政策をとってきたわけです。でもそれが、全部、まるっと、ことごとくスベってきた。「エンゼルプラン」や「新エンゼルプラン」といった過去の対策は、まるきし効果を上げてこなかった。なんなら逆効果だったんじゃねーの?くらいに惨憺たる結果。ここまで見事に失敗した政策はある意味、政府の責任問題なんじゃないのか?税金返せっつー(笑)。


 ちなみに少子化の原因は3つあるらしい。つまり『1.未婚化の進展』『2.晩婚化の進展』『3.夫婦の子ども数の減少』の3つ。で、政府が少子化対策として懸命に進めてきた政策は『3.夫婦の子ども数の減少』に対する対応だけだ。具体的には、育児休業給付金を出したり、保育所補助金を出したり、主婦の就労支援したりといったこと。
 まあこれはこれで子持ちのママさんは大喜びなんでしょうが、子供がいっぱい生まれる役にはまるっきり立っていない。それはデータをみれば明らか。これはどう見ても少子化対策じゃねーだろ。単なる子育て支援だ。もうね、バカかと。
 いやね、夫婦に子供をいっぱい産ませようっていう政策なら、それはそれでいいと思うのよ。でも、だったらフランスぐらい気合入れて、子供4人以上産んだら国からの補助金だけで食べていけるぐらいしなきゃダメだと思うわけ。それくらいしないと少子化対策にならない。こんな中途半端な政策で税金タレ流して、目的はこれっぽっちも達成できてないのに、誰も責任とらないっていうのがね。がっかりですわ。お金の無駄遣い。


 だいたい少子化問題の核心はどう見ても『3.夫婦の子ども数の減少』より、『1.未婚化の進展』と『2.晩婚化の進展』の方だろ。そっちを何とかすべきだろ。だって完結出生児数(一組の夫婦が生涯に作る子供の数)は ここ30年間くらい2.2人くらいで変動してなかったわけ。つまり結婚したら子育てが大変でも、大抵2人くらいは子供を産むわけですよ。その完結出生児数も2005年には下がったらしいですが、それだって『晩婚化の進展』が理由だと思う。だって35歳で初婚の女性に子供たくさん産ませるとか、どう考えても無理だかんね。これは政治とか経済の問題じゃなくて、生物学的な問題だ。どうしようもない。
 じゃあこの未婚化・晩婚化をどうすべきかと考えた時に、政策的には難しいんだなーこれが(笑)。政府に「早く結婚しろ」とかいわれても、大きなお世話だからなー。とはいえ結婚率が男性の収入と、正社員率に比例するという調査結果は出ているわけですよ。ということは、やっぱ政府の取るべき少子化対策は、昔ながらの失業政策で、男性の雇用を促進することではないかと。若年層の収入を増やしニートを減らすということになるんでないかと。それが地味ながら結婚するカップルを増やし、ひいては少子化対策になるのではないかと。そう考えるわけですよ。
 ちなみにここで「男性の雇用対策」と書いたのは、少子化問題を考える上で結婚率と女性の就職率・収入には因果関係が無いのに男性にはあるからで、特に深い意味はありません。でも「女性の社会復帰支援」とかいった政策は問題なく行われるのに「男性の雇用支援」とかいうと、フェミニストからの苦情殺到なんだろうなー(苦笑)。女性も収入のある男性が増えれば結婚しやすくなると思うんだけどね。不思議。


 それから、少子化問題のもう一つの対応策として「移民」というのがあります。自分は移民に完全反対というわけではないのですが、少子化による労働力確保のために移民を受け入れるというロジックは、犯罪の増加や文化衝突など、将来笑えない結果が待っていると思う。たぶん社会問題化して、余計に社会的コストがかかる気がする*2。欧州の現状や移民暴動を見てるとすごくそう思う。
 しかも高い専門知識や 技術を持つ外国の人材を確保するなんてどう考えても無理。そんなに都合よく行くわけねーだろ。どうせ日本人と同じ待遇を求める外国人と、職に就けない外国人の失業者が溢れかえるに決まってるだろ。この点では経団連と、御手洗冨士夫さんには全く賛成できませ〜ん(笑)。


 つづく。


その他の記事
 ・少子化問題についての経済的考察Part2(最大多数の最大幸福)
 ・男女平等院鳳凰堂(国宝)
 ・高齢化時代のクリスマス(政治的に正しい少子化対策)




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*1:1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数。具体的には(生まれた数)÷(15歳〜49歳の女の数)。これが2.08を割ると人口が減少に向かうとされている。

*2:大規模の労働者の流入は、直接短期的にはGDP(国内総生産)の上昇に結びつくが、長期的にみてこれらの労働者に対する、治安維持、社会保障、教育に費やす経費が、税収や年金掛け金収入を上回り、受入国の社会全体の財政には利益をもたらさないばかりか、かえって国庫負担となる。