・米下院外交委員会、慰安婦決議案を可決(女子挺身隊)

 2007年6月26日、アメリカ議会下院の外交委員会で、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦に関して日本政府に謝罪を求める「慰安婦決議」案が39対2の多数で可決されました。まだ可決されただけで、本会議で採択されたわけではないので、その時に書けばいいかな〜とか思っていたわけですが、なんか新聞の社説で盛り上がっているので、便乗して書いてしまいます。可決に対する感想などを。慰安婦に対する自分の考えについては、また別の機会にまとめて書きたいと思う。


 ちなみにこの話の焦点は、『慰安婦の国家による強制連行があったかどうか』というところです。これ重要。慰安婦(いわゆる売春婦)がいたかどうかは問題ではない。そして『強制連行』があったとする根拠が、慰安婦と呼ばれる人々の数々の証言だ。そしてなかったとする根拠が、当時の政府や軍指導部からの戦時命令のなかで、女性を強制的に拉致し『慰安婦』として働かせたことを示す文書が、いまのところ1つも見つかっていないということだ。つまり証言はあるが、物証はない。そしてそれをどう評価するかで意見が真っ二つに割れている。
 それにしてもあんまり関係ないけど、従軍慰安婦の英訳が「性奴隷(SEX SLAVE)」って言うのはどうかとおもうよね。ひでー英訳(笑)。


 ちなみにこの「慰安婦決議案」、日系米国人の民主党議員マイク・ホンダによって1月31日に提出されて以来、アメリカを舞台に日本と中韓の間で活発なロビー活動が行われてきたわけですが、要するに日本ボロ負け。やっぱ中国人と韓国人はアメリカに移民がいっぱいいるからな。米国選挙に対する影響力が日本より大きい。これはしょうがない。マイク・ホンダ下院議員にも中国系政治団体*1から多額の政治献金があったらしいし。
 もちろんこの「慰安婦決議案」が米下院の本会議を通過したからといって、なんら拘束力はないのでどーっつーことはない*2。むしろ華麗にスルーするのが日米関係にとって一番好ましいわけですが、それにしても同盟国に対してこの決議案はないよなー。これは米国ひどい。やはり多少はがっかりせざるを得ない。


 とはいえ、慰安婦問題って今更だよね〜。なんせ第二次世界大戦中の問題だからな。話し古過ぎ。ぶっちゃけ、サンフランシスコ平和条約と、日韓基本条約ですべての問題は解決しているし。にもかかわらずこんなに何度も蒸し返されるのは、靖国問題と同じで、中韓にとってこれが純粋に政治カードだからだ。
 実際、1993年の宮沢内閣時代に、政府が慰安婦問題を公式に認めたいわゆる「河野談話」で、日本が謝罪する変わりに、今後この問題は蒸し返さないという政治決着が、韓国と図られていたらしいのですが、もちろんそんな約束は履行されていない。そもそも中韓が日本を簡単に叩けるこんなに美味しい外交カードを、そんなに簡単に手放すわけがない。今後も事あるごとにこの問題は蒸し返されるっしょ。心から謝罪するかどうかに関係なく。
 しかも今回の米議会決議案での強制連行の根拠として、この「河野談話」を持ち出される始末ですよ。あちゃ〜。これは宮沢内閣やっちゃったよなー。まさに謝り損だ。たとえ善意だとしても「なにはともあれ、とりあえず謝っとく」っていうのはイクナイ。日本人に対する良い教訓だ。


 それはともかく、2007年6月28日に亡くなられた第78代内閣総理大臣宮澤喜一氏(87)には、心から哀悼の意を表したい。


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*1:在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」

*2:外交委員会の決議は年間300、その他の委員会決議を合わせると2300ほど。ちなみに中国なんて、今年になってからも「米下院で中共当局がスーダンダルフール大量虐殺を黙認している事に抗議する決議案」「米下院で台湾要人の訪米規制撤廃ウイグル人活動家の親族釈放を求める決議案」の2つがすでに可決されている。