・グッドウィルへの事業停止命令とワーキングプア(僕たちの将来)

 ちょっと前のことになりますが、派遣最大手のグッドウィルが、違法派遣を繰り返していたとして、厚生労働省から、同社の事業所のうち違法行為があった67事業所に4カ月、そのほかの全事業所に2カ月の事業停止命令が出されました。2008年1月18日からはすでに全事業所で、新規の派遣事業や営業活動ができなっているもようです。
 今までもグッドウィルには何度も改善命令出されまくっていたわけですが、ここにきて厚生労働省からキッツイのを一発くらった感じ?同業界のフルキャストも昨夏に事業停止命令を受けてたし。でも、もはや派遣業界は、日本の社会構造にすでに深く根付いてしまっているので、この程度で潰れるほど甘く無いけど(苦笑)。
 とはいえグッドウィルだけでも、毎日3万人以上を派遣していたらしいし、今回の事業停止処分でかなり多くの人が仕事を失ってしまっているらしい。もちろんグッドウィル社員も含めて。今頃ネットカフェ難民はどうしているんだろう・・・・・。ヒキコモってなきゃいいけど・・・・・。


 この人材派遣業界、規制緩和に伴う1999年の派遣法改正から、売上はずっとウナギ上りで、いまや5兆円産業らしい。でもそこで働く人たちの平均月収は、たったの13万3千円らしいからね・・・やっぱ安すぎ。やっぱきつよね、この金額は。生活保護より安いとは。しかも年金の企業負担分も、雇用保険も、退職金もないからね。もちろん代わりに、好きなときに働けるという自由もあるわけですが・・・これじゃ働かない方がマシってなるわ。基本的には、誰でも出来る単純作業なんで、スキルも身につかないし。
 とはいえワープアの人たちも、このところの不景気のあおりを受けて、新卒で就職できなかったり、倒産やリストラで職を失った人たちも結構いて、そういう人はキャリア・技量が十分な場合を除き、再度定職に就くのは厳しいらしいんだよね。だからこんなに増えちゃったっていう。というわけで、本人達ばかりが悪いともいえないし、グッドウィルだけの問題でもない。


 ところが最近景気が良くなってきたもんで、人手不足も手伝って、政府もやっとこさ重い腰をあげたっていうか、このままじゃいかんというか、ようやく国政の重大懸念となってきたのだろう。舛添要一厚労相は「派遣法の見直しを含め、再検討を考えないといけない・・」とかいう発言をしている。景気の悪かった頃は、グッドウィルも政治家に献金しとけば、見逃してもらえてたんだけどね(苦笑)。
 ついでにマスコミもこぞって、グッドウィルの悪行を社説で取り上げまくりですよ。もちろんグッドウィルが悪いのは、社会的に明白ということなんでしょうけど。とはいえこちらも、グッドウィルから広告費やスポンサー料をもらっていたときは、そんな悪行を完全スルーしてたしね(苦笑)。
 金の切れ目が縁の切れ目ってのを、こうもわかり易く目の前に提示されると、なんだかなーっていう。よくいうよーっていう。今までずっと見てみぬ振りをしてきたくせに、今さら偉そうに問題視されてもね。なんとなくトカゲの尻尾切りな感が否めない・・・・とかね。もちろんグッドウィルを擁護する気はさらさらありません。あの会社の搾取はやはり酷いとおもうので。


 とはいえ自分もワーキングプアよりちょっとマシなぐらいだからな。あんま人のことは言えない。やっぱり会社から経済搾取をされていると思うし、望ましい労働環境ともおもえん。自分の会社の知り合いでさ、毎日すごく夜遅くまで仕事をしてて、働きすぎて体を壊して、けっきょく退職した人がいるわけですが、彼は何であんなに必死で仕事をしていたのだろう?とかふと考える。てか、死ぬ間際に「ああもっと仕事をしとけばよかった・・・」って思う人ってどれくらいいるんだろう?いまわのきわで「自分にはまだやり残した仕事があるっ・・・」みたいな(笑)。
 そう思える人ならきっと天職ってことで、命を削って頑張る意味があるのでしょうけど、でもそうでないなら、仕事のし過ぎで体を壊すなんて、きっと愚か者のすることだ。誰もそんなこと望んでないのに。一体誰のためにそんなに頑張ってるのかと。もちろん彼には心から同情しますが、やっぱりばかだなーとは思う・・・・・。


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 ・人材派遣のフルキャストに事業停止命令(ハケンの品格)
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