・コソボの独立宣言とコソボ紛争の悪夢(欧州の火薬庫)

 1991年のコソボ紛争以来、国連の暫定統治下にあるセルビアコソボ自治州は、2008年2月17日に州議会でセルビアからの一方的な独立を宣言しました。これまでのコソボは、国際社会ではセルビアの一部ではあるが、実質的にはセルビアの実行支配下にはないという、非常にあいまいな地位にあったらしい。これがいわゆる地位問題。それを打開するために、今回独立宣言に踏み切ったらしい。
 現在のコソボは州内の約9割をアルバニア系住民が占め、セルビア人はかなりの少数派みたいなのですが、セルビアは当然のことながら猛反発し、もうすでに独立に反対するセルビア住民やコソボ内のセルビア系住民によって、相次いで襲撃や放火が行われている模様です。けっこう一触即発。このままだとまたもや大混乱、そして紛争へつながっちゃうかもしれんね。つーか、相変わらずセルビア人の喧嘩っ早さは、特筆に価すると思う(笑)。


 ・・・・・・・・コソボ?・・・・・う〜ん、さっぱりわからん。とはいえまあ、世界史的一大事なので、一応ちょっぴり触れておきたい。ちょっと調べたり、関心を持ったりするのは、きっと良いこと。そう思って書いてみました。「きんぱくするこそぼじょうせい」について(笑)。
 ちなみにコソボセルビアの始まりの地で、いわゆる聖地らしいのですが、いまとなってはしっちゃかめっちゃかですよ。トルコなどのイスラム教と欧州キリスト教のせめぎ合いの地でもあって、ムスリムも結構多いし。それ以外にもカトリックギリシャ正教の争いもあったりして。ついでに西から東から、難民が吹き溜まりのように集まってきて、民族的にもグダグダだし。それに欧州にとっては裏庭といっていいほど近くの出来事だしね。欧州主要都市からだいたい飛行機で2時間ぐらいで、イタリアからも船で1時間ぐらいらしい。だから経済的・政治的な不安はヨーロッパ全体に影響しまくり。ゆえに各国の外交的利害関係が衝突する。
 しかももうね、この地域の歴史は虐殺につぐ虐殺の歴史だからね。民族浄化しまくり。んで憎しみがミルフィーユみたいに何層も重なって、憎悪がグルグルと渦を巻いて、すっかりマーブル模様ですよ。ぜんぜん笑えないレベル。平和ってナニ?ってなもんです。たぶんこの地域の人の顔を見たら、額に「殺す」って書かれてるんじゃないかな?マジックで(笑)。こんなの日本人には、想像するのすら難しい。のん気に「ここはなかよくやりましょうよ」「話し合いで解決しましょうよ」なんて言おうものなら、発狂して殺されかねないくらいヤバイ。そして旧ユーゴスラビア時代に「世界の武器商人」だったが故の、巷に溢れかえる武器の多さにもびびる。気に入らなければ射殺みたいな。


 コソボは1991年にもすでに一度、独立宣言をしているのですが、このときは隣国のアルバニア以外に承認する国がなく、ゆえに独立国とはみなされず、今まであいまいになっていたらしいのですが、今回は18日に行われた国連安全保障理事会で、いわゆる西側諸国は軒並み賛成の意を表明している。ブッシュなんて「バルカンに平和をもたらす歴史的一歩」なんつって賞賛しちゃってっかんね。うそこけっていう。ていうか、この米国の理想主義的ノーテンキはどうにかならんのか?独立宣言と聞いただけでOKしそうだな、おい(笑)。もうね、アメリカ人が民族概念や歴史意識や文化的伝統を理解できないという事が、世界をますますややこしくしているという事に、いい加減気づけよっていう。
 それに引き換えロシアや中国は反対しているらしい。ロシアはスラブ系民族という親近感から親セルビアの立場を取ってきたとかニュースに書いてあったけど、どっちかっていうと国内の民族問題に対する不安なんだろうな、やっぱ。旧ソビエト連邦の構成国や、ロシアの周辺諸国の最近の親欧米路線に、プーチンはただ今ブチギレまくり中ですからね。ウクライナグルジア北大西洋条約機構(NATO)への加盟については、もう勝手に石油のパイプライン止めたりしてるし、ポーランドチェコの米国によるミサイル防衛構想(MD)には「だったらミサイルぶち込む」とまで宣言して脅してるし。どこのヤクザだよ(笑)。あと中国は台湾独立に神経を尖らしているのと、スペインとかもバスク独立にピリピリしてるので反対。その他、反対を表明している国は大抵は国内に独立問題を抱えてたりする。


 ちなみに日本も承認する予定。こっちはちょっぴり日和ってますが(笑)。つーかもうね「武器を持って戦わなければ平和」なんて、なんとなく考えている、のん気な日本人のみなさまには、是非ともこの地域の歴史を勉強すべきだね。それは自分のことだけど(苦笑)。とりあえずコソボにたいして、日本ができることはほぼない。紛争が起きても、影響もほぼない。このお気楽な感じがたまらなく平和(笑)。


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