・もはやチベット動乱といって過言ではない(プーと大プー)

 2007年8月10日、チベット・ラサでチベット民族蜂起49周年での僧侶デモに対する公安、武装警察らの弾圧、さらにそれに対する抗議デモは徐々に広がりをみせ、14日にはついに暴動に発展、デモ活動は近隣地域へも拡大し、甘粛省青海省に続き、四川省でも勃発、また世界中でチベット独立運動が盛り上がっている模様です。
 この暴動による死傷者の数については、中国が完全な報道規制を敷いているため、さっぱりわかりませんが、数百人単位のかなりの数にのぼるらしい。なんせ中国政府が「分裂に反対し、安定を維持する『人民戦争』を発動する」とか言っちゃってかんねー。これはヤバイ。戦争とか、まったく穏やかじゃない言葉で困る。なにおっぱじめる気なんだよー(苦笑)。さらに日本のテレビニュースや新聞は中国の公式発表の垂れ流し状態なので、何が起きているのかさっぱりですよ。まったくのところ。


 しかし武器を持たぬ市民のデモに対して、装甲車とか使って武力弾圧しちゃうんだもんなー。これは誰がどう考えても、やりすぎだよなー。これは日本政府も遺憾の意ぐらいは示しとくべきだと思う。それに国内問題で内政干渉だから口出ししないってのも、おかしな話だよなー。けっこうな人が死んでるわけだし。
 にもかかわらず、日本はすごい静か。福田首相もまだ見てるだけみたいだし(これは、いつもか?)、それどころか各政党も政治家も、懸念のコメントすら出していないみたいだし。これはまた、中国からいくらお金をもらっているか気になるね(笑)。オリンピックを成功させるために、日本にも中国からかなりの政治資金が流れているみたいだし。
 それにマスコミね。特にテレビ。五輪の放映権の関係で、扱いがかなり小さめ。世界中でチベットの抗議活動と支那の弾圧が大きなニュースになっているのに。まぁこの話をしだすと、1940年代まで独立国家だったチベットに対する、中共の侵略行為をちゃんと説明しなくちゃいけないわけだけど(笑)。
 あとはやっぱり、プロ市民のみなさまや、日本の自称、人権団体や反戦団体の沈黙ぶりにもちょっと笑える。


 もちろん中国の巨大市場が魅力的なのは、自分も認めますよ。商機がたくさんあるのも認める。そして自分も北京五輪を楽しみにしてるし、つつがなく成功すればいいなとも思っている。対中関係とか、分からんでもない。にしても、やっぱスルーできる問題じゃないよな。
 もちろん今回の暴動はチベット側が意図したものだと思う。なんせ今の中国はオリンピックをひかえて世界中が注目しているから、中国政府はめったな事は出来ない状態だしね。中国側の対応は、これでもかなり控えめな方(笑)。面子を重んじる中国としては、五輪を成功させるために、いっぱいいっぱいの舵取りしてる。これで五輪がなかったらもう、やりたい放題で実力で叩き潰してる。だからチベット人にとってこれは千載一遇のチャンスだ。決死の覚悟でやってる。
 それにこの抗議が「長年の苛酷な支那チベット統治に対する不満が爆発したもの」っていうのはホントだろうし、これまでの中国が、チベット人の文化を侮辱し、神聖な宗教儀式に嫌がらせや妨害を繰り返し、チベット人を中国人に同化させようしているのも事実なわけだし、中国に同情する気はサラサラない。五輪成功のために、チベットに対する締め付けもかなり厳しくなってるしね。


 ていうか、大体のところ、共産主義が宗教をタブー視してるのに、チベットを支配するのはおかしい。チベットっつったら、宗教「命」みたいなところがあるじゃないっすか。日がな一日、寝っ転がっては立って、立っては寝っ転がって、仏様に祈りを捧げてるみたいなところがあるわけじゃないっすか。もう根本からして無理がある。
 そりゃね、チベットにはウランなどの地下資源が豊富にあって、中国としては手放したくない地域なんだそうだけど、でもそれよりなにより、これを認めちゃうと台湾問題や民主化問題にも波及して、中国が崩壊するからな。中国共産党も必死です。今週末の22日には台湾総統選挙もあるし、こりゃかなり大事になってきたなあ。かしましいっていうか、ドンドンきな臭くなってまいりました(笑)。5月の胡錦濤国家主席の訪日、8月の北京オリンピックも含めて、今年は中国をちょっとドキドキしながら見守っていきたい。そう思う。他人事なわけだけど(笑)。


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