・拉致被害者を「北朝鮮に戻すべきだった」だってさ(加藤の乱)

 福田首相になってから、マスコミはさっぱり政治家の失言ネタや、スキャンダルを取り上げなくなってしまったわけですが(苦笑)、久々にやってくれました加藤紘一氏。2008年7月7日の日本BS放送のテレビ番組で。
 彼に言わせると、どうやら日朝交渉停滞の原因は、2002年に北朝鮮から一時帰国した拉致被害者を、北朝鮮に戻さなかったからということらしい。もしあの当時の日本政府が、北朝鮮との約束通り拉致被害者を彼の国に戻していたら、現在の北朝鮮との対話はサクサク進んで、今頃はエビバディハッピーということらしい。


 ええー?なにこのバカ発言。「もし戻していたら」というのは、歴史のifなのでどうなっていたかわかりませんが、拉致被害者5人を「戻したほうがよかった」とは、どう考えても思えないよな。もちろん発言の趣旨はね、一時帰国から永住帰国への方針転換を主導した安倍元首相の対応を批判したもので、北朝鮮強硬派の安倍ちゃん憎しの発言らしいのですが、これはどう考えても大失言でしょう。
 自分もびっくりした。さすがにこの発言はないわ。加藤氏は今や閣僚でもなんでもない、いわゆる「過去の総裁候補」なわけですが、マスコミにとっては自民党内にあって自民党政権の批判をする重鎮のコメント役として重宝されているらしい。でもこれはちょっと調子に乗りすぎでしょ。反主流という立場でいいかげんな事言ってるとしか思えない。


 そもそも北朝鮮との外交のために、拉致被害者を利用していいわけがない。どんな外交だよ。アホか。こんな約束が可能なら、在日北朝鮮人を全員強制送還する約束だって可能だっつーの。そもそも自国民の生命・財産を守るのは、政治の最重要課題だっつーの。
 これを国会議員の立場の人が平気でいってるから怖い。しかも本気でそう考えていそうだから救えない。ちょっと信じがたい人権意識だ。もちろん加藤氏が「拉致被害者の代わりにオレが北朝鮮へ人質に行く!」ぐらいの男気を示してくれるなら、自分は加藤氏を支持するのもやぶさかではないんだけどね(笑)。


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