・夏祭りで浴衣姿の女の子とデートする以上にワクワクするイベントがこの世に存在するだろうか?

 いや、存在しない。夏祭りといったら、夏最大のイベントと言っても過言ではない。それに浴衣姿の女の子を見ると、なんかちょっとときめくよね。浴衣を着るとどんな女性でも、妙に色っぽくなるというか。いつもとは雰囲気が全然違って、また別のかわいさを再発見できるというか。浴衣姿のオネェちゃん、かわいいっす。マジ最高っす!
 なのにだ。最近見かけるのはなぜか、付け睫毛ぱっつんぱっつんのゴテゴテした化粧に、髪の毛がクルンクルンした明るい茶髪のロンゲで、とどめは装飾ネイルが全開という、微妙に浴衣に似合わないというか、日本の風情が台無しな女の子をよく見かける。最近はあんなのが流行っているのかな?まあ、あれはあれでいい気もするけど。


 なんつって、夏祭りに特別な思い入れがあるわけではないのだけど、金魚すくいにはちょっとした思い入れがある。思い入れっつーか、トラウマっつーか。まあ、もうずいぶん昔の話なのだけど。その頃の自分はデートっつーだけで、とりあえず手をつないだらどうしようとか、二人っきりになったらどうしようとか考えて、クッションに顔うずめて足バタバタしちゃうような奴だった。なんか気ばかりあせってさ(笑)。
 でまあ、女の子と近くの夏祭りに行こうって話になって、いろいろと見て回ってたんだけど、夏祭りっつったら金魚すくいだろっていうことで「金魚すくいやる」っていったわけ。んで、やったわけ。そこでとある事件がおこった。彼女にちょっとでもいい所を見せようと、がんばって金魚を4匹もすくってみせた自分に対して、彼女は心底興味がなさそうな顔で「ふうん、まあまあね」と言ったのだ。


 なんかこうして文字にしてみると全然たいしたことじゃないみたいだけど、てか実際たいしたことじゃないんだけど、金魚をたくさんすくえる男はカッコイイと勘違いしていた当時の自分は、そのあまりに予想外な反応に「・・・・・」ってしばらくの間固まった。たぶんその時の自分は、いきなり頭の上に金ダライが落ちてきたみたいな、そんなマヌケな顔をしていたと思う。
 その後は何をしても楽しくなかったし、食べたたこ焼きはスポンジみたいに味がしなかった。でも今思えば、金魚がたくさんすくえたからって、別にカッコ良くはないよなあ。そりゃそうだ。確かに。なんであの頃の自分は、金魚をたくさんすくうことが、そんなにカッコイイ事だとおもっていたのだろう?なんなら「彼女のためにすくってあげた」ぐらいの勢いだったからな(苦笑)


 ・・・まあ、考えてみるに、たぶん「すごいね」って彼女にほめて欲しかったんだね。あはは。ばかみたい。男ってホントばかだよね。でも「ふうん、まあまあね」というセリフはまるで呪いのように、今でも自分の心に小さな影を落としている。もちろん彼女は悪く無い。それは頭ではちゃんと理解しているつもり。単なるなにげない発言だしね。でもね、心がどうしても納得しないの。
 だって「ふうん、まあまあね」はないよなあ。いくらなんでも。当時の自分は頭にきて「ふざけんじゃねーよ。4匹だぞ4匹ッ!一体なにが不満だってんだ。よーし、わかった、上等じゃねーか!今度は10匹金魚すくってやるから、今に見ていろ、コン畜生があぁーっ!」って、そんなふうに思っていたけど、寧ろ今でもそう思ってる。


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