・さよなら歌舞伎座(パンとサーカス)

 初めて歌舞伎を見に行ったので報告します。今の歌舞伎座が古くなってしまったので、2010年4月の公演を最後に取り壊されてしまうらしい。2013年の春にはまったく新しい歌舞伎座が完成してしまうらしい。なので今の姿の歌舞伎座を拝めるのはあともう少し。その前に是非とも1度くらいは、歌舞伎座というものを見ておこうとおもいまして。日本人の端くれとして、歌舞伎の一つも経験しておこうとおもいまして。軽い物見遊山のつもりで、歌舞伎を観劇してまいりました。生まれて初めて。
 ちなみに、新しく作られる歌舞伎座は、バリアフリーで最新設備が満載の、劇場とオフィステナントで構成された、29階建ての複合ビルになるらしい。瓦屋根、唐破風、欄干など、正面外観は今の歌舞伎座の面影を残しつつ、さらにそこからにょっきりと上に向かって高層ビルが生えるという、なんとも形容し難いポップな外観になるらしい。う〜ん、それってどうなんだろう。今でもちょっぴり胡散臭いのに、さらに不思議ワールドになりそうな気が・・・・実物見ないとなんともいえないけど。
 でも歌舞伎座の中に一歩足を踏み入れると、外界とは切り離された別世界というか、存在感のある非日常スペースというか、年代を感じさせるレトロ感もありつつ、歌舞伎が長く日本人に愛されてきた事を感じることが出来る、とっても素敵な場所でした。やっぱ取り壊しちゃうのは残念。個人的には歌舞伎座のあの外観より、むしろ内装というか雰囲気を残してもらいたい。あれがもし現代的なコンサートホールみたいになったら嫌だなあ。出来ればロビーは、もう少し広くして欲しいけど。


 んで、肝心の内容のほうなんですが、さてさて、歌舞伎とは一体どんなものなのだろう!って、わくわくしながら見てたのですが、結論から言うと、個人的にはけっこう楽しめました。ただ自分は明らかにビギナーなので、歌舞伎のよしあしがよくわからない。なので、ここでいきなり「素晴らしい」だの「つまらない」だの言い出すのは気が引ける。ぶっちゃけ役者も、そうそうたる面々?だったらしいのだけど、化粧が濃すぎて自分には、誰が誰だかサッパリわからなかったし。
 特に端っこで三味線弾いたり、懸命に声を張り上げて歌ってくれてるおっちゃんがいるんだけど、わかんねーんだ、なに言ってるかぜんぜん。歌いながら演目の状況説明してくれてるみたいなんだけど、あれは慣れないと、どう考えても聞き取りづらすぎ。何とか理解しようとして一所懸命に集中するんだけど、どうしても頭の中で単なるノイズとして処理してしまう。結局なにをいっているかわからなくなってしまうという。外国オペラでもないのに、イヤホンガイドがないとダメかもしれん。
 それでも、あの真っ白な厚化粧や、大袈裟な口上、ド派手な衣装や、独特の演技。そのどれもが、歌舞伎座のあの場所、あの壇上ではとてもしっくりとしていて、なぜか演技にぐいぐいひきこまれてしまうの。本当に。すごい、すばらしい、ブラボー。長唄ぜんぜんわかんねえ、何言ってんだって思ったけど、それでもまぁ、話の内容は大体わかるし。なので、歌舞伎を見たことのない方も、是非一度は劇場で見てみることをお薦めします。特に建替えの前の歌舞伎座で。以上、レポートでした。


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