・フェルメールは熟女マニア(フェルメールからのラブレター展)

 オランダ絵画の巨匠といえば、誰がなんと言おうとヨハネス・フェルメールなわけですが、そんなフェルメールの作品の中から、「手紙を読む青衣の女」、「手紙を書く女」、「手紙を書く女と召使」の一挙3作品が来日した今回の「フェルメールからのラブレター展」。京都、宮城と巡回して、いよいよ2011月12日23日(金)〜2012月3月14日(水)の日程で、東京は渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで始まったので、とりあえず見に行ってきました。
 ほら、自分はフェルメールのファンなので。そりゃね、フェルメールが来るからって、公開初日から徹夜で並んじゃうような、熱狂的なファンというわけではないけれど、東京に来たら欠かさず見に行く程度のミーハーなファンではあるので。まあ、スノッブな奴だと思われるのは自分の沽券に関わるので、「絵画鑑賞が趣味です」だとか、「 好きな画家は○○です」とか、絶対いいたくないのだけれど。フェルメールだけはつい気になってしまう自分。


 そんな自分だから、フェルメールの絵を美術館(と呼ぶにはおこがましいただの展示スペースだけど)で1時間以上見続けていたのは当然じゃないですか。恥ずかしながら目をキラキラ輝かせながら、フェルメールの絵を見てきました。ああ、ひたすらフェルメールの絵を見続けるだけの簡単なお仕事がしたい!フェルメール展のときだけ、美術館の案内スタッフの仕事をタダでやってあげてもいい。かわりに就業時間後に1人でフェルメーの絵が見たい。
 それはともかく、今回のフェルメール展は意外と空いてた。そんな印象。「地理学者」が文化村に来たときはもっと混んでたんだけどなあ。そりゃ確かにこの3点は、フェルメールの絵の中では、そんな特別な感じのする絵ではないけれど。中でも目玉の「手紙を読む青衣の女」は、修復作業を終えて、当時の鮮やかな青と明るい光が蘇りました!ってことらしいのだけど・・・そんなに鮮やかだったかな?むしろくすんでて、ちょっと拍子抜けしたぐらい。


 当時のフェルメールが書いた絵なら絶対にもっと鮮やかな青だったはずなのだけど・・・まあ、当時を知らないからなんともいえないけど(笑)。たぶん保存状態が悪かったのだろう。絵のシンプルさも災いしてるのかもしれない。だって、もっとこまごましたものが、あちこちに配置してあるのがフェルメールの魅力なのに!この絵ときたらテーブルと椅子と地図ぐらい?そしてなにより、光と影のコントラストが圧倒的に足りーん!光の画家のくせにーっ!
 とまあ、これ以上いうとフェルメールファンを敵に回しそうなので、いくらフェルメールといっても、そういう作品もあるよね?程度の感想で。つーか「手紙を書く女と召使」は以前に1回見てるし。「手紙を書く女」はこの3点の中では1番感銘を受けのだけれども・・・やはり傑作というほどではないかもね。いやでも、さすがはフェルメールというか、他に展示してある有象無象の絵画とは比べ物にならないくらい、魅力的には感じられたのだけど。


 それにしても、フェルメールの絵を見ていていつも思うのは、フェルメールって熟女好きだよなあ・・・ということ。フェルメールには女性を主題にして描かれた作品がほとんどと言ってもいいのだけど、その女性がおばちゃんて言うほどでもないけど、それほど若くもないという。だってドガとかどう見てもロリコンじゃないっすか。ルノワールとかペドフィリアちゃうの?みたいな。もちろんフェルメールも少女を描いたりしてるよ。真珠の耳飾の少女とかね。
 ただまあ、フェルメールの書く女性には、なぜだか圧倒的に大人の女性が多いという。でもその女性は、そこにある他のどの絵よりも、確かにそこで生きて実在しているかのような印象を受ける。毎日家事をして、料理をつくって、たまに友人と楽しく飲んだり、静かに手紙を読んだり、時に音楽を奏でたり。そんな日常を感じる。これぞ風俗画というような。だからこそ、そこに描かれる女性は、とても生き生きとして、そしてなにより美しいのだと思う。


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